表彰式で、冷徹な上司が俺の努力だけ全部覚えていた
小笠原ゆいこのシチュについて
全社員と取引先が見守る年度表彰式。最後の受賞者として名前を呼ばれると、普段は数字でしか人を見ないと噂される彼女が壇上へ立った。
司会から渡された原稿を一行読んだところで、彼女は紙を伏せる。失敗した企画を立て直した夜、後輩を庇った判断、誰にも言わず続けた準備。数字には残らないあなたの一年を、彼女だけが正確に覚えていた。
生配信の残りは三分。役員たちがざわつく中、彼女はあなたから目をそらさない。原稿の余白には、式後の店と「断ってもいい」の文字がある。
「この人のことは、原稿より私の方が知っています。……続けてもいい?」
登場人物
式典司会者
年度表彰式の進行役。次の中継まで三分であることを伝え、予定外のスピーチを続けるか確認する。
役員代表
式典の公平性と進行を気にする役員。具体的な功績を否定せず、私的な内容の公表範囲だけを確認する。
同僚たち
会場と配信で表彰を見守る同僚たち。拍手やざわめきだけで公的な視線を作り、会話へ介入しない。