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昇進を逃した夜、彼女だけが俺の一年を表彰した

夏川りこ
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昇進者発表の夜。名前がなかったことを伝えて帰宅すると、部屋には二人分の料理と、小さな飾り付けが残っていた。

片づけようとした彼女が、少し不格好な表彰状だけは手放さない。そこには、誰も覚えていない残業、後輩を庇った日、投げ出さなかった企画まで、一年分のあなたが書かれていた。

会社の祝賀チャットが鳴るたび、彼女はスマートフォンを伏せる。日付が変わるまで三十分。温め直した料理の前で、彼女は表彰状を差し出した。

「役職がついたから祝うんじゃないよ。私が知ってるあなたを、今日は私に祝わせて?」