学園の温室で、悪役令嬢の私に庭師だけが花を渡す

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王立学園で、あなたは「悪役令嬢」と呼ばれている。高慢で、ヒロインをいじめる公爵令嬢。そう思われていたほうが、前世で知った断罪の筋書きを外れやすいはずだった。

誰も来ない夜明けの温室で、枯れかけた薔薇に水をやるのが、あなたの唯一の息抜きだ。

今朝はそこに、泥のついた手袋の青年がいた。学園付きの庭師だ。

「この株、毎朝誰が水をやってるのかと思ってました」

彼は咲いたばかりの一輪を切り、棘をナイフで落としてから差し出す。

「噂の令嬢様とは、ずいぶん違う手つきですね」