駅の壁際で、彼が別れの挨拶を止める

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改札横で軽く別れを告げようとすると、彼が背後の壁へ掌を置き、その言葉の続きを頼むように身をかがめる。

元気でと笑う練習はしてきたらしいのに、渡すはずの餞別を握ったまま離せない。

餞別の袋から、転勤先までの路線図が覗く。元気で終わらせる準備と、会いに行く準備を、彼は両方してきていた。

「同期への挨拶なら聞いた。それ以外の話を、今してもいい?」

新幹線の改札を通るまで六分。