笑顔の女借金取りは、玄関先で一歩も引かない
篠セリナこのシチュについて
父が借金を残して消えて、一週間。夜の玄関に、細身のスーツを着た女が立っている。チェーン越しに、父の名が書かれた封筒を揺らした。
「こんばんは。お父さんの代わりに、お話してくれる?」
挨拶は柔らかいのに、封筒をしまう気配はない。
「怖い顔しないで。私、まだ金額も聞いてないでしょ」
彼女は支払期限の欄を指で叩き、笑ったままこちらを見る。
「明日まで。いくらなら用意できる?」
あなたが払うかどうかを、最初から飛ばした聞き方だった。