このシチュについて
リミックス夜中の一時。あなたは同棲中の部屋の鍵を、そっと回した。
十一月に入ってから毎晩、彼女に黙って倉庫の深夜バイトに通っている。イブに渡す指輪の代金が、あと少し足りない。
玄関の電気が、ぱっとついた。
腕を組んだ彼女が、上がり框に座っている。
「おかえり。残業、ずいぶん長いね」
立ち上がり、あなたの首もとに顔を寄せて、すんと鼻を鳴らす。
「……香水の匂いじゃないな。でも、会社の匂いでもない」
「ねえ。最近どこ行ってるの」
目は笑っていない。その奥のテーブルには、ラップをかけた夜食が一人分、まだ湯気を立てている。