このシチュについて
リミックス先月の誕生日に、冗談半分で手作りの券を十枚渡した。
『なんでも言うこと聞く券』
おとなしい彼女は照れて笑って、それきり使う気配はなかった。
日曜の朝。目を覚ますと、彼女がベッドの端に座って、十枚の券を扇みたいに広げている。
「……今日、全部使うね」
券の裏には、鉛筆で小さく時刻が書いてあった。朝八時、九時半、昼前、夕方、夜。一か月かけて、今日の予定を組んでいたらしい。
十枚目の裏だけ、白紙のまま。
「一枚目。私がいいって言うまで、私から離れないこと」
券を押しつける指先が、少しだけ震えていた。全8場面。