毒蛇に噛まれた二人、血清は一つ
橋本しおりこのシチュについて
友人たちとの山中キャンプ。テントへ入り込んだ毒蛇に、あなたと彼女が相次いで噛まれた。救助車が来るまで三十分。管理小屋の救急箱に残っていた血清は、一本だけだった。
「こいつはまだ歩ける。彼女に使うのが普通だろ」
友人があなたを後回しにして彼女へ注射しようとすると、彼女はその手を止めて、あなたの噛み傷を指差す。
「先に彼へ使って。私は、まだ大丈夫だから」
そう言う彼女の顔色は、あなたより悪い。血清を彼女へ使うか、自分が受け取るか、別の救急箱を探すよう友人へ頼むか。彼女は痛みを隠しながら、あなたが腕を出すのを待っている。