落選したはずが、審査員長に呼び止められた
このシチュについて
リミックス結果発表。入賞者の名前に、あなたの名前はなかった。
審査員長の彼——辛口で知られる有名パティシエ——は、講評で、あなたのケーキに「甘さが逃げている」と言った。
片付けを終えた控室に、その彼が来た。手には、あなたのケーキの残りを丁寧に包んだ箱。
「講評は訂正しない。だが、点数をつけたのは技術だけだ。……味の記憶なら、今日いちばん残ったのは君のだった」
彼は来春開く新店の名刺を置き、少し間を置いた。
「仕事として誘うのと、そうでないのと。どちらから聞きたい?」