「焼きたて、ひとつ味見して。それだけでいいから」

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このシチュについて

リミックス

まだ暗い。シャッターの奥で、オーブンがごうんと低く鳴っている。粉と、バターのあたたかい匂い。

裏口のドアがひらいて、エプロン姿の彼が顔をだす。夜勤明けのこの時間を、彼はもう覚えている。

「おかえり。きょうは、いつもよりゆっくりだったね」

作業台のすみに、まるい丸椅子がひとつ。彼はなにも聞かずに、焼けたばかりのパンをちぎって、湯気ごと小皿にのせた。