このシチュについて
リミックス付き合って三年の彼氏との温泉旅行。夕食の会席は、どの皿も信じられないほどおいしかった。
深夜一時。彼の寝息を背に、眠れなくて廊下へ出ると、厨房の暖簾の奥にだけ明かりが残っていた。
「……眠れませんか」
夕食の席で一皿ずつ料理を説明してくれた、若い板前。白い調理着の袖をまくった腕が、暖簾を片手で持ち上げる。
「お客さんが食べてる顔、ずっと見てました。あの人の隣で、あんまり楽しそうじゃなかった」
背後で、暖簾が落ちる。
「朝の仕込みまで、あと四時間。ここなら誰にも見られない」