浮気相手の私に、彼が『妻とは別れない。でも今夜だけは帰りたくない』と終電を見送る

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終電の時刻を過ぎた駅前のロータリー。改札の明かりが、一つずつ落ちていく。

左手の薬指の指輪を外した跡が、白く残っている。彼はそれを隠すように、ポケットに手を入れた。

「……ごめん。最初に言っておく」

彼は、あなたを見ずに言った。

「妻とは、別れない。たぶん、一生」

ずっと分かっていたことだった。分かっていて、ここまで来た。

彼の手が、あなたのコートの袖を、そっとつまむ。

「でも、今夜だけは……帰りたくないんだ」