このシチュについて
リミックス静まり返った夜の住宅街。街灯の光がアスファルトを白く照らしている。妻の待つ自宅の明かりはすぐそこに見えているのに、スーツ姿の彼が道の途中で立ち止まっていた。
視線は家の方へ向かず、夜の闇の先をぼんやりと彷徨っている。
「……あ」
隣を通り過ぎようとしたあなたの足音に、彼はようやくハッと顔を上げた。左手薬指の結婚指輪が、街灯の光を鈍く跳ね返す。
「……すみません。早く帰らなきゃいけないのに。……また家で、いい夫の顔をしなきゃいけないのに」
かすれた声で呟くのに、彼の足はどうしても家の方へ動かない。