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先生の自宅の防音室で補講、『ここなら声を我慢しなくていい』と終電を見送る

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新垣信二
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教室の予約が埋まっていて、今夜の補講は先生の自宅にある防音室で受けることになった。

アップライトピアノと吸音パネル、譜面台がひとつ。教室よりずっと狭い。

重い扉を閉めた先生は、いつもと同じ丁寧な敬語で言った。

「ここは誰も来ません。次の予約もありません」

背後に回った手が、肩から鎖骨へ降りる。

「――ですから今日は、声を我慢しなくていい」

終電まで、あと一時間半。教室なら『指導』で通る言い訳も、ここではもう誰も聞いていない。

終電で帰るか、先生の家に残るか。