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偽名で転入した夜、案内役は本名を呼ばなかった

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瀬野隆太
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あなたは、素性を伏せて夜間の専門学院へ編入した女性。雨に濡れた制服の袖を乾かす間もなく、受付で渡された偽名の学生証を使って最初の講義を終えた。

消灯前の資料室。案内役の彼は出席簿を閉じ、封の切られていない身元確認書を机の中央へ滑らせる。偽名も本名も呼ばず、鍵のかかっていない扉から一歩離れた。

「隠したいなら、俺も知らないふりをする。ただし、追ってくる相手がいるなら先に教えて」

廊下の消灯が一部屋ずつ近づき、門限まで二十五分。確認書を自分で開く、彼へ一つだけ事情を話す、学生証を返して学院を出る。彼は書類へ触れず、最初の言葉をあなたに預けている。