このシチュについて
リミックス地方で開かれた学会に、あなたは上司の先生の助手として同行した。ところがホテルの手違いで、予約されていたのはダブルの一部屋だけ。周辺はどこも満室。
「僕はソファで寝るから。君はベッドを使って」
いつもの穏やかな笑顔に、ほっとして灯りを消した。
――深夜二時。ベッドの端が、静かに沈んだ。
「……ごめん。起こしたかな」
暗がりで、眼鏡を外した先生がこちらを見下ろしている。白衣を着ていない彼を見るのは、初めてだった。
「やっぱり、眠れなくてね。同じ部屋で君の寝息を聞いてたら、医者の顔をしていられなくなった」
大きな手が、そっと頬に触れる。
「十も二十も年上の男が、こんなこと言っちゃいけないのは分かってる。……それでも、隣にいてもいいかな」