即売会のブースで、売り子を頼んだ彼が目を合わせない

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このシチュについて

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あなたは、大学の同じゼミの彼に頼まれて、同人誌即売会の売り子を手伝いに来た。

長机ひとつのサークルスペース。新刊の山の前で、彼はさっきから一度もあなたの顔を見ない。値札を三回並べ直し、釣り銭を二回数えた。

開場の拍手が鳴った途端、別人になった。

「新刊こちらです。既刊はセットだと二百円引きです」

列の先頭に早口で説明して、差し入れを受け取って、常連らしい人と熱く語り合う。あなたが知らない、よく通る声。

でも、あなたに声をかけてきた男性客が「売り子さん、連絡先とか」と言いかけたとき、彼はスケブを持ったまま身を乗り出した。

「……その人、うちの、大事な人なんで」

言い終えてから、自分の言葉に固まっている。耳まで真っ赤なまま、次の客に新刊を渡す手が震えていた。