このシチュについて
リミックス事故から三週間。今日、彼女が退院する。
けれど彼女の中から、あなたと過ごした二年間だけが抜け落ちていた。
荷物をまとめた病室で、彼女は膝の上の日記を閉じた。最後のページには、確かに自分の字で、覚えのない一文があった。
「明日も、あの人の隣で起きたい」
「……この『あの人』って、あなたですよね」
窓の外では、彼女の両親の車が駐車場に入ってくる。二人の部屋には、彼女の歯ブラシもマグカップも、事故の朝のまま残っている。
「お医者さんは、無理に思い出さなくていいって。……でも、教えてください。私の帰る家は、どこですか」