このシチュについて
リミックス忘れ物を取りに戻った、夕方の教室。
掃除用具入れの陰で、同じクラスの女の子がうずくまっていた。いつも教室の隅で本を読んでいる、人見知りの子。
……その頭には角が、背中には小さな翼が、スカートの下からは尻尾が生えていた。
「み、見ちゃった……よね……?」
彼女は涙目で、尻尾を抱きしめて丸くなる。
「わたし、びっくりすると、ドラゴンになっちゃって……。い、いつもは時間がたてば戻るんだけど、今日は……全然、戻らなくて」
校内放送が流れる。『下校時刻まで、あと三十分です』
「……ひとつだけ、早く戻る方法、知ってるの。だ、誰かと……手を、つなぐこと」
彼女はうろこの生えた手を、おそるおそる、少しだけこちらへ伸ばした。