このシチュについて
リミックスあなたは、大手メーカーの新技術を任された開発責任者。学会帰りのホテルのバーで、一人で飲んでいた。
隣の席に、ドレスの美女が腰を下ろす。
「お一人? ……よかったら、お部屋で飲み直しません?」
台詞は完璧だった。ただ、グラスを持つ手が小刻みに震えている。肩に触れようとした指先は、途中で止まった。足を組み替えた拍子に、ドレスの奥から社外秘のファイル名を書いたメモが落ちる。
彼女は慌てて拾い、真っ赤な顔で微笑み直した。
「い、今のは見なかったことに……して、ください」
彼女の耳には、小さなイヤホン。夜明けまでに資料を持ち帰れと、誰かが急かしている。
彼女は顔を背け、小声で答えた。
「……じゅ、順調です」