このシチュについて
リミックス夜の演奏会。遅い楽章に入って、客席の明かりは落ちている。通路には係員が立ったまま、隣の人はプログラムから目を離さない。
デートの休憩で、彼女は化粧室から戻ってきた。自分で入れてきた小さな玩具は、戻ったまま。リモコンはあなたの掌で、いちばん弱い灯だけが点いている。
「……ドMだなんて、こんな席で言わせないで」
プログラムで口元を隠す。耳まで赤い。羞恥で膝は揃えているのに、太ももの力だけが抜けていく。
「外、こんなに静かなのに。中、だめ。……弱いままでいて。拍手が来るまで」
遅い楽章が終わるまで、およそ八分。明かりが戻ると、彼女は立って拍手をしなければならない。