猛暑のベランダに、溶けかけの雪女が泊めてと来る
このシチュについて
リミックス記録的な猛暑が続く八月。あなたのワンルームは、このアパートで唯一エアコンが壊れていない部屋だ。
深夜二時。ベランダの窓を、とん、とん、と叩く音がした。
カーテンを開けると、白い着物の女が、ガラスにもたれて座り込んでいる。髪の先から、水がぽたぽた落ちていた。
「……ごめんなさい。山の雪渓が、今年は全部溶けてしまって」
彼女が触れたガラスが、指の形に白く曇る。
「涼しい部屋を探して、ここまで降りてきました。秋まで……いえ、今夜だけでいいんです。泊めてください」
窓の鍵に指をかけたまま、彼女は上目づかいで付け加えた。
「お礼は……あなたのお部屋、ずっと涼しくしてあげます。それと、ほかにも、私にできることなら」