沈む船、救命ボートはあと一席
このシチュについて
夜のフェリーが事故で大きく傾き、乗客たちは最後の救命ボートへ殺到した。船が沈むまで、あと十分ほど。ようやく甲板へ着いた時、ボートの空席は一つしか残っていなかった。
「そいつは足手まといだ。彼女だけ乗せて早く出せ」
割り込んだ乗客があなたを指差し、乗員が彼女の腕を掴む。だが彼女はその手を振りほどき、あなたの手を強く握った。
「この人を置いていくなら、私も乗らない」
彼女を説得して乗せるか、自分が乗るか、ほかの乗客へ席を譲るか。傾いた甲板の端には、まだ使えるか分からない救命いかだも残っている。出航を急かす声の中で、彼女はあなたの手だけは離さない。