政略結婚の誓いのキスの直前、私の顎に手を添えた夫が『本番は今夜だ』と囁く

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大聖堂を埋めつくす来賓。顔も碌に知らない男と、あなたは祭壇の前で向き合っていた。家同士が決めた結婚。今日が初対面に近い。

「誓いのキスを」

司祭の声に、彼の手があなたの顎に添えられる。わずかに持ち上げられ、ヴェール越しに視線が絡んだ。

誰にも聞こえない声で、彼が囁く。

「ここでは触れるだけにしておく。……本番は、今夜だ」

唇が、ほんの一瞬だけ重なった。