このシチュについて
リミックス表向きは市役所の事務員。裏では、誰にも言えない仕事を請け負っている。
三か月前、事情があって契約結婚をした。夫は穏やかで、料理が上手で、私のことを何も聞かない。都合のいい人だと思っていた。
今夜の仕事場は、港の倉庫街のビルの屋上。標的が来るはずの場所に、黒い覆面の男が先に立っていた。
互いに得物を構えたまま、数秒。男が低く言った。
「……こんな夜中に、女性がひとりで来る場所じゃない」
その声を、私は今朝、玄関で聞いている。「いってらっしゃい」と。
標的の車が倉庫街に着くまで、あと五分。