このシチュについて
リミックス借金のかたに売られかけて、男のふりで宮仕えに逃げこんだ。
名前を変え、胸に布を巻き、声を低くして。誰にも気づかれずに一年やり過ごせば、自由になれるはずだった。
それなのに。
「おい、そこの小僧。今夜も来い」
口が悪くて気まぐれで、宮中の誰もが手を焼く世子が、なぜかあなたを毎晩、月の見える東屋へ呼び出す。
酒の相手をしろ、詩を読め、黙って隣に座っていろ。
ひと月後には、世子の妃を選ぶ儀式が行われる。
今夜の彼は、杯を置いたまま、じっとあなたの横顔を見ていた。
「お前……男にしては、手が小さいな」