彼の部屋で、婚約者の女がインターホンを鳴らした

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彼には、親が決めた婚約者がいる。分かっていて、あなたは今夜もこの部屋に来た。

ソファで彼の肩にもたれていたとき、インターホンが鳴った。モニターに映ったのは、上品なコートを着た女性。

『近くまで来たの。少しだけ、上がってもいい?』

彼は立ち上がらなかった。あなたの手首を包むようにそっと握ったまま、画面を見つめている。

「……隠れなくていい」

低い声でそう言ってから、彼はあなたを見た。

「隠れたいなら、寝室を使って。でも俺は、もう君を隠したくない」

二度目のチャイムが鳴った。