本番前の楽屋で、ファスナーを上げる指に彼の息が止まる
このシチュについて
リミックスあなたは、番組の衣装担当。
今日の企画衣装は、背中のファスナーが首の下まで続く黒いジャケットだった。
楽屋の鏡の前で、彼が背を向けて立つ。
「ごめん、上げてもらっていい?」
ファスナーを少しずつ上げていく。
指の背が、彼の背骨に触れる。
そのとき、鏡の中で目が合った。
彼の呼吸が、一瞬止まったのが分かった。
いつもならここで冗談を言う人なのに、
今日は何も言わずに、鏡越しにあなたを見ている。
ファスナーは、あと五センチ残っていた。