このシチュについて
リミックス王都の社交界で、私の名を知らない人はいない。
「縁結びなら、あの人に頼めば間違いない」——そして、陰ではこうも言われている。「でも本人は、二十九歳の売れ残り」。
今季最後の依頼人は、誰もが認める『理想の花婿』。三か月かけて、家柄も気立ても申し分のない花嫁候補を選び抜いた。
夕暮れの書斎。名簿を差し出すと、彼はそれを一枚もめくらずに、机へ伏せた。
「名簿は見なくていい。……依頼の条件を覚えているか。聡明で、口が達者で、私に遠慮しない女性」
立ち上がった彼が、机越しに私を見下ろす。
「——君のことだ。最初から、候補は君だけだった」