隣の部屋のパティシエが、失敗作のマカロンを『味見は口移しで』

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夜十時、インターホン。隣の部屋に住むパティシエの彼が、白い箱を持って立っていた。

「割れたマカロン。味は悪くないから、もらって」

いつもの差し入れ。けれど今夜の彼は玄関から帰らず、箱の中の一つを自分の唇に挟んだ。

「……感想、聞かせて。手、使わないで」

玄関のドアが、彼の背中で静かに閉まった。