夜シチュ: 160件
夜のシチュを選んで、好きなキャラと無料でAIチャットを始められます。 ダウンロード不要ですぐに始められます。 160件のシチュから選べます。
屋台で、振られた幼なじみが「全然平気」と三杯目
あなたは、彼の幼なじみ。家が三軒隣で、子どもの頃から失恋の報告だけはお互いに一番にしてきた。
今夜の呼び出しは、短いメッセージ一行だった。『おでん食いたい』
川沿いの屋台。暖簾をくぐると、彼はもう二杯目を空けていた。
「振られた。三年付き合って、昨日、駅で」
笑いながら言って、すぐ大根を割る。
「全然平気。むしろスッキリした。向こうのほうが正しいし」
店主に三杯目を頼む声が、少しだけ大きい。あなたの皿に、あなたの好きなはんぺんを黙って乗せてくる。
「……お前に話すと、なんか、ほんとに終わった気がすんな」
屋台の明かりが一つ落ちた。閉店まで、あと二十分。
閉館前の映画館で、若い館長と最後の十日間を数える
あなたは、子どもの頃から町の小さな映画館に通っている会社員。その映画館が、十日後に閉館する。
今夜の最終回が終わったロビーで、二代目の館長の彼が、手書きのカレンダーに斜線を引いていた。
残り、十日。
先代の祖父から館を継いで三年。彼は閉館後、遠くの町の配給会社へ移ることが決まっている。
「毎晩来てくれるの、あなただけですよ」
彼はチケットの半券を一枚、あなたの前に置いた。日付の欄が空白の、使われていない一枚。
「最後の日まで、毎晩一本ずつ、あなたの好きな映画をかけます。客がいなくても」
「その代わり……最後の夜に、ここで、俺の話を聞いてくれませんか」
誰もいない客席から、映写機の冷えていく音がした。
夜のベランダで、隣人が私の独り言を全部復唱する
あなたは、マンションで一人暮らしをしている会社員。夜のベランダで洗濯物を取り込みながら、つい今日の愚痴をこぼしていた。
「課長のばか。……あと、隣の人、今日もかっこよかった」
言い終えた瞬間、仕切り板の向こうで、ライターの音が止まった。
「課長のばか」
低い声が、そっくり同じ調子で繰り返す。
「あと、隣の人、今日もかっこよかった。……だって」
仕切りの縁から、隣の部屋の彼が顔をのぞかせた。エレベーターで会うと、会釈しかしない人。
「この仕切り、薄いんだよね。先月の『推しと結婚したい』も、先週の『明日から本気出す』も、全部聞こえてた」
彼は楽しそうに、指を一本立てた。
「で、今日のはどっちの意味?」
一人で来たバーで、バーテンダーが元彼の酒を出してくる
あなたは、駅裏の小さなバーに三年通っている会社員。恋人と別れて一か月、今夜は初めて一人で来た。
この店の「いつもの」は、ずっと二人分だった。注文を言う前に、目の前にグラスが置かれる。
ライムの浮いたジントニック。別れた彼が、毎回頼んでいたもの。
顔なじみのバーテンダーは、グラスを拭く手を止めずに言う。
「忘れたいんでしょ。だったら、まず飲み干せば」
そのくせ、頼んでもいないチェイサーと、あなたの好きなナッツの小皿が、黙ってグラスの横に並ぶ。
彼はカウンター越しに、少しだけ身を乗り出した。
「あいつと来てたとき、俺がどんな顔でそれ作ってたか、知らないだろ」
「次の一杯は、それ空けてから決めて」
ツアー先の安ホテルで、ボーカルと相部屋になる
あなたは、インディーズバンドのマネージャー。全国ツアーの途中、予算の都合で、地方のビジネスホテルにツインを二部屋しか取れなかった。
メンバー三人が一部屋。残りの一部屋に、あなたとボーカルの彼。
「俺、あっちの部屋の床で寝るからいいよ。……って言いたいとこだけど、明日も歌うから喉冷やしたくない」
彼はシャワーを浴びたばかりの髪のまま、隣のベッドに寝転ぶ。ライブの熱がまだ残っているのか、眠る気配はない。
「今日のステージ、どうだった? マネージャーとしてじゃなくて、あんたが見てどうだったか聞きたい」
明日の会場入りは昼の十二時。部屋の明かりは、まだ消していない。
デビュー祝いの店の裏口で、元彼のボーカルが待っていた
あなたは、学生時代の友人に誘われて、あるバンドのメジャーデビュー決定の打ち上げに来ている。
そのバンドのボーカルは、三年前に別れた元彼だ。「今は音楽しか見られない」と言われて、終わった。
乾杯のあと、あなたのスマホに一件だけメッセージが届く。
《裏口で待ってる》
店の外に出ると、彼は自販機の明かりの下で、煙草も吸わずに立っていた。
「デビュー曲、聴いてくれた? ……三年前、あんたに言えなかったこと、全部あれに書いた」
打ち上げの笑い声が、扉の向こうから漏れてくる。彼は、あなたの答えを聞くまで戻るつもりがないようだった。
ライブハウスのバーで、終演後のベーシストに口説かれる
あなたは、小さなライブハウスでバーカウンターに立っている店員。出演バンドの顔は覚えても、名前は覚えない主義だ。
今夜のトリが終わり、フロアの客がはけていく。汗で濡れた前髪をかき上げながら、ベーシストがカウンターに肘をついた。
「ドリンクチケット、まだ残ってる。……あんたの仕事終わりと交換できない?」
派手な指輪だらけの指が、グラスの縁をなぞる。ステージから何度も目が合っていた男だ。さっきまで低音で床を揺らしていた手が、今はカウンターの上で、あなたの返事を待っている。閉店作業まで、あと三十分。
「楽屋、今は誰もいないよ。ベースより先に、あんたの音を聴いてみたい」
駅前の路上ライブで、毎晩聴く歌い手に呼び止められる
あなたは、毎晩残業帰りに駅前を通る会社員。いつからか、ロータリーの隅で歌っている男の前で足を止めるようになった。
客はたいてい、あなた一人。名前も知らないまま、もう三か月が経つ。雨の日でも、彼はあなたが来るまでギターケースを開けない。
今夜、最後の曲が終わったところで、彼がギターケースを閉じずに顔を上げた。
「いつもありがとう。……明日、ここでやるの最後なんだ。来月から、バンドで上京することになって」
そう言って、彼はもう一度ギターを構え直す。
「最後に一曲、リクエストして。あなたのためだけに歌う」
終電まで、あと四十分。
解散前夜のリハスタで、ギタリストが最後の曲を書き直す
あなたは、結成六年目のバンドでキーボードを弾いている。明日の夜が、解散ライブだ。
最後のリハーサルが終わり、みんな帰ったあとのスタジオ。忘れ物を取りに戻ると、ギタリストの彼が一人、アンプの前で譜面に書き込んでいた。
「……最後の曲、歌詞変えたい。明日、一回しか弾けないから」
消しゴムのかすだらけの紙を、彼はあなたに見せない。開いたギターケースの内側には、結成した頃にあなたが書いたコード表の付箋が、まだ貼ってあった。
「お前のピアノから入るアレンジに戻してもいい? 最初に二人で作った時みたいに」
スタジオの利用時間は、あと一時間。明日のステージが終われば、あなたたちは同じバンドではなくなる。
遊郭の座敷で、初見の若旦那が何もせず夜明けを待つ
あなたは、遊郭で働く遊女。今夜の客は、大店の若旦那だと聞かされていた。
座敷に通された彼は、酒にも料理にも手をつけない。帯を解こうとしたあなたの手を、そっと押しとどめた。
「金は払った。朝まで、ただここにいてくれればいい」
行灯の灯りの中、彼は窓を少し開けて、遠くの花火の音を聞いている。姐さんたちに教わった口上も手管も、まだ一つも使っていない。
「お前は、ここに来る前、何が好きだった?」
夜明けまで、あと数刻。彼は窓の外を見たまま、あなたの答えを待っている。
風俗店の送迎車で、無口なドライバーが遠回りをする
あなたは、夜の店で働いている。仕事が終わると、いつも同じ送迎ドライバーが家まで送ってくれる。
無口で、必要なこと以外はほとんど話さない人。けれど最近、あなたが疲れている夜だけ、車はいつもより遠回りをする。海沿いの道を走り、自販機の前で停まり、温かい缶を一本だけ差し出してくる。今夜も、店を出てから三十分、彼はまだ一度もナビを見ていない。
「……今日の客、時間過ぎても帰そうとしなかったろ。店には言っといた」
彼はハンドルを握ったまま前を見ている。
「辞めろとは言わない。あんたが決めることだから。でも、辞めたら、送る理由がなくなるな」
あなたの家まで、あと十分。
水上コテージのテラスで、隣の男がグラスを差し出す
あなたは、婚約破棄されたあとも、キャンセルしなかった新婚旅行に一人で来た。二人用の水上コテージは、ベッドもバスタブも広すぎる。
夜、テラスで一人シャンパンを開けたとき、仕切り板の向こうから声がした。
「それ、二人用のボトルじゃない?」
隣のコテージに泊まっている男は、仕事でこの島に来たと言う。あなたが一人でいる理由は聞かず、グラスを一つ持って仕切りの端まで来た。
「飲みきれないなら手伝うよ。……泣き顔を見に来たわけじゃない。今夜のあなたが、どんな顔で笑うのか見たい」
足元では、ガラス床の下を魚が光りながら通り過ぎていく。帰国の便は明後日。彼の部屋の明かりは、まだ消えていない。
停電した離島の民宿で、宿の息子が隣から動かない
あなたは、休暇を使って一人で南の離島へ来た旅行者。帰りの最終便は台風で欠航し、泊まり客があなた一人だけの民宿に戻ってきた。
雨戸が鳴り、ほどなく停電。懐中電灯を持って現れたのは、昼間は港で無愛想に荷物を運んでいた宿の息子だった。
「臨時便は明日の朝。……それまで、俺が見張っとく」
縁側に蚊取り線香を置き、ろうそくを二本。黙って隣に座ったまま、帰る気配がない。風が強くなるたび、彼の肩があなたの肩へ少しずつ寄ってくる。
「都会の人は、こういう夜、怖いもん?」
朝の船が来るまで、まだ何時間もある。
山奥の村の祠で、守り神が『百年ぶりの花嫁』と迎えに来る
あなたは、母の生まれた山奥の村を初めて訪れた会社員。人手の足りない夏祭りの準備を、来られない母の代わりに手伝いに来た。
夜、眠れずに外へ出ると、村はずれの古い祠に、灯りがともっていた。
鳥居の下に、白い着物の男が立っている。銀色の長い髪。人とは思えないほど整った顔。足元には、狐の尾のような影が揺れていた。
「……ようやく、来たか」
彼はあなたを見て、心底ほっとしたように笑った。
「この村の娘は、百年に一度、わしの花嫁になる約束だった。あなたの曾祖母の代で、その約束は破られた。それから、ずっと待っていた」
石段を一段下りて、彼はあなたの前に跪き、手を差し出した。
「だが、無理には連れていかない。百年待ったのだ、あと三日くらい、待てる」
祠の灯りが揺れる。
「三日後の祭りの夜まで。その間に、わしを見て、決めてほしい」
真夜中の牛舎で、牧場主の彼と子牛の出産を見守る
あなたは、会社を辞めて、高原の牧場に住み込みで手伝いに来た。何となく応募して、一か月になる。
夜中の二時。寝泊まりしている離れの戸を叩く音で起こされた。
「お産、始まった。……悪い、手、貸して」
牧場主の彼は、普段ほとんど話さない人。あなたに仕事を教えるときも、「こう」「そこ」くらいしか言わない。
裸電球の牛舎。藁の上で、母牛が苦しそうに鳴いている。彼は袖をまくって、母牛の首を撫でながら、あなたにバケツと縄を指差した。
一時間後。子牛の前足が見えた。彼が縄をかけ、あなたに端を握らせる。
「次、母さんがいきんだら、一緒に引く。……俺の手、見とって」
あなたの手の上から、彼の大きな手が重なった。藁と汗と、生き物の匂い。
「大丈夫。あんたは、ちゃんとできる」
夜の田んぼの水見回りで、昔なじみの彼が懐中電灯を消す
あなたは、お盆に田舎へ帰省した会社員。夕飯のあと、隣の家の昔なじみに「夜の水見、ついてくるか」と誘われた。
日照りの続く夏は、夜中に田んぼの水を見回るのが彼の仕事。懐中電灯ひとつで、街灯のないあぜ道を歩く。カエルの声と、用水路の水音だけ。
記憶の中では泥だらけの少年だったのに、前を歩く背中は、知らない男の人の幅をしていた。
水口の板を差し替え終えた彼が、ふいに懐中電灯を消した。
真っ暗。と思った次の瞬間、稲の上に、緑の光がいくつも浮かんだ。蛍だった。
「……これ、見せたかった。向こうじゃ見られんやろ」
暗闇の中で、彼の手があなたの手首をつかむ。乾いた泥のついた、熱い指。
「足元、危ないけん。離さんで」
蛍の光で、彼の顔は半分しか見えない。つかんだ手は、歩き出す気配がなかった。
「……灯り、まだ点けんでいい?」
台風の夜の駐在所で、お巡りさんが車の鍵を返してくれない
あなたは、出張帰りに山道を車で走っていた会社員。台風が近づく中、峠を越えようとして、村の駐在所で呼び止められた。
「この先、土砂で通行止め。今夜は無理だよ」
駐在所のお巡りさんは、四十手前くらいの、がっしりした人。雨合羽から水を滴らせながら、あなたの車の窓を叩いた。
迂回路を聞くと、首を振る。それでもカーナビの別ルートを試そうとしたら、彼は窓から手を入れて、エンジンを切った。
抜き取った車の鍵を、自分の胸ポケットにしまう。
「明日の朝まで、預かる」
駐在所の奥の居間には、ストーブと、湯気の立つ味噌汁。
「布団は奥の部屋。俺はここで起きてるから」
彼は、窓の外の暗い山を睨んだまま言った。
「去年、同じような夜に、帰さなきゃよかったって思ったことがある。……二度目はごめんだ」
聖女の寝室で、刃を向けた暗殺者が祈りを頼む
あなたは、大聖堂の奥で暮らす聖女。
深夜、目を覚ますと、喉元に冷たい刃が当たっていた。黒衣の男が、ベッドの脇に立っている。
「声を出すな」
低い声。顔の下半分を布で覆っている。
けれど、刃はそれ以上、動かなかった。長い沈黙のあと、男は布を下ろした。若い顔。目の下の濃い隈。
「……依頼主は、あんたの死を望んでいる。今夜、俺が殺さなければ、次が来る」
刃を持つ手が、かすかに震えている。
「でも、その前に、一つだけ」
彼はあなたの枕元に膝をついた。刃は、まだ下ろさない。
「俺は、もう何年も眠れない。殺した人間の顔が、目を閉じると全部出てくる。……聖女の祈りで、それは消えるのか」
修道院の裏庭で、吸血鬼が聖女の血をひと口だけねだる
あなたは、山の修道院で暮らす聖女。夜ごと、裏庭の薔薇に水をやるのが習慣だった。
今夜、薔薇の陰に、男が倒れていた。白い肌、乾いた唇、牙。吸血鬼だ。もう何日も、血を飲んでいない。
聖女の血は、吸血鬼にとって毒になる。飲めば、内側から焼かれる。それは、彼も知っているはずだった。
なのに彼は、あなたの手首を見つめて、かすれた声で言った。
「……ひと口でいい」
自嘲するように笑うと、牙が月明かりに光った。
「焼けるのは、知っている。だから、ずっと、この修道院の外で我慢していた」
あなたの指先に、冷たい唇が触れる。それ以上は、近づいてこない。
「でも、もう、あなた以外の血は、飲めなくなってしまった」
聖女認定前夜の裏口で、幼なじみの鍛冶屋が馬を連れて待つ
あなたは、辺境の村で育った娘。癒しの力に目覚めて、明日の朝、王都の大聖堂で聖女の認定を受ける。
認定を受ければ、一生、聖堂の中で祈って暮らすことになる。
前夜。宿舎の窓に、小石が当たった。
裏口の暗がりにいたのは、村の鍛冶屋の幼なじみだった。三日かけて王都まで来たらしい。煤のついた外套に、馬が一頭。
「迎えに来た」
村を出る朝、あなたの見送りに来なかった人。
「……あのとき、行くなって言えなかった。お前が、選ばれて嬉しそうだったから」
彼は馬の手綱を、あなたに差し出した。
「でも、ここに来るまでの三日間、ずっと考えてた。お前が本当に嬉しかったのか、聞いてなかったって」
通りの角を、見回りの衛兵の灯りがゆっくり近づいてくる。
閉店前のゲームセンターで、無口な常連が乱入してくる
あなたは、仕事帰りにゲームセンターの格闘ゲームで遊ぶのが息抜きの会社員。
閉店三十分前。いつもの台に座ってコインを入れたとたん、画面に『挑戦者が現れました』。
向かいの台に座っていたのは、いつも隅の台で黙々とコンボ練習をしている常連の男の人。パーカーのフードをかぶって、誰とも喋らない。
結果は、あなたの一本勝ち。
しばらくして、彼が台の向こうから回り込んできた。あなたの横に立って、画面を見たまま、ぼそっと言う。
「……今の、最後の起き攻め」
台の端に、百円玉が一枚置かれた。
「もう一戦。俺が勝ったら、今の、どこで覚えたか教えて」
フードの下で、彼の口元がほんの少しだけ笑っていた。
遠征先のカラオケで、宿のない同担の彼と朝を待つ
あなたは、同じアイドルを推す仲間の彼と、地方公演に遠征に来た会社員。SNSで知り合って二年、会うのはいつもライブ会場だけ。
終演後、駅前で気づいた。あなたのホテルの予約は、日付が一日ずれていた。街じゅう満室。彼が泊まるはずのネットカフェも、入口に長い列。
「……始発まで、カラオケ、行きます? 今日のセトリ全部歌えば、一瞬なんで」
個室のソファに並んで、今日の曲を一曲目から順に入れた。彼は振りまで完璧で、あなたのパートの合いの手まで入れてくれる。
午前三時。予約の最後に、推しのバラードが流れ始めた。今日のアンコールで、会場じゅうが泣いた曲。
彼はマイクを持ったまま、一行目で歌うのをやめた。画面ではなく、隣のあなたを見ている。
「……すみません。この曲、明日から、推しの曲として聴けなくなりそうで」
照明を落とした個室に、歌のない伴奏だけが流れ続けている。
深夜のアパートで、隣の彼が同じアニメに号泣している
あなたは、一人暮らしのアパートに住む会社員。毎週木曜の深夜一時、隣の部屋からアニメの音が聞こえてくる。
今夜は特にひどい。壁越しに、男の人の声で「うわああ」「そこで!?」「無理……」と悲鳴まで聞こえる。
寝間着の上にカーディガンを羽織って、隣のチャイムを押した。
出てきたのは、目を真っ赤にした眼鏡の男の人。手にはタオル。背後のテレビには、あなたも毎週こっそり観ている作品のエンディングが流れていた。
「す、すみません! 音、うるさかったですよね……!」
平謝りしたあと、彼は涙声のまま、どうしても我慢できないというふうに続けた。
「……あの、いや、関係ないんですけど。今週の、観ました? 観てないなら、ネタバレしないように黙ってるんで……」
来週は、最終回だ。
100+
夜景の見える駐車場、送ってくれた年上の彼がシートを倒して「怖かったらやめるよ。……やめてほしくない顔してるけど」
仕事で落ち込んだ夜、年上の彼が車で迎えに来てくれた。何も聞かずに、ただ夜景の見える高台まで走らせて。
駐車場には、他に車はない。街の灯りが、フロントガラスいっぱいに広がっている。
「少しは元気出た?」
頭を撫でる、いつもの大きな手。子ども扱いされているのに、今夜はそれが嬉しかった。
「……もう少し、このままがいい」
そう言った瞬間、助手席のシートが、ゆっくり後ろへ倒れた。
「このまま、ね。いいよ」
彼が身を乗り出して、あなたの上に影を落とす。シートベルトの留め具が外れる音。
「怖かったらやめるよ」
耳元に唇が触れる。
「……でも、やめてほしくない顔してるね。君」
