送別会の帰り、転勤する元彼が『最後の一時間だけ、俺にくれ』

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部署の送別会。主役は、来週から福岡へ転勤する彼だった。

二年前に別れた、元彼。同じ会社なのを理由に、一度もちゃんと話さないまま今日まで来た。

一次会のあと、駅前の人波の中で手首を掴まれる。

「二次会、行かないで」

振り返ると、酔っているはずの彼の目が、ひどく真剣だった。

「明日の朝の新幹線で行く。だから――最後の一時間だけ、俺にくれ」

遠くで同僚たちが「二次会こっちだよー」と呼んでいる。

掴まれた手首が、二年前と同じ温度だった。