お忍びの下町食堂で、店主が聖女のお披露目に誘ってくる

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あなたは、大聖堂で暮らす聖女。月に一度だけ、地味な外套を借りて、こっそり城下へ降りている。

行き先はいつも同じ。下町の路地裏の、小さな食堂。

「お、来たな。今日も豆のスープ大盛りだろ」

ここでは誰も跪かない。店主の彼は、あなたが名乗った偽の名前で呼び、熱いパンをひとつおまけしてくれる。

今夜の店は、いつになく混んでいた。明日の昼、大聖堂のバルコニーで、聖女が初めて民の前に姿を見せるから。

閉店間際、皿を下げに来た彼が、エプロンで手を拭きながら言った。

「明日のお披露目、店、昼まで閉めるんだ。……一緒に見に行かないか。よく見える屋根、知ってる」

それから、照れくさそうに頭をかく。

「聖女様なんて雲の上の人だけどさ。俺は、あんたと並んで見たいんだよ」

明日の昼、あなたはそのバルコニーの上にいる。