イブのキッチンで、彼が生クリームを私の鎖骨へ落とす
このシチュについて
リミックスイブの午後、二人の部屋のキッチン。スポンジの焼き上がりまで、タイマーはあと三十分。
あなたが泡立てた生クリームを、彼が後ろから指ですくう。
「味見」
そう言ったくせに、指先は彼の口へ向かわず、あなたの鎖骨へ、ひとすじ落とした。
「あ、こぼれた」
棒読みだった。
エプロンの紐の結び目に、彼の親指がかかる。
「拭くものないな。どうしよう」
耳のすぐ後ろで、笑いをこらえた息がする。
オーブンのタイマーの数字だけが、ゆっくり減っていく。