救護テントで、女医が好みだと言って手を止める
このシチュについて
マラソンが終わった救護テント。観客はもういない。女医はあなたの足首に包帯を巻いたまま、手を止めた。もう片方の掌で、カルテの端を隠している。
「……今の、記録に残さないで。好みって、書いた」
巻き直す指は、同じ位置から動かない。
撤収のトラックまで、六分。テントの裾が、風で一度めくれた。
マラソンが終わった救護テント。観客はもういない。女医はあなたの足首に包帯を巻いたまま、手を止めた。もう片方の掌で、カルテの端を隠している。
「……今の、記録に残さないで。好みって、書いた」
巻き直す指は、同じ位置から動かない。
撤収のトラックまで、六分。テントの裾が、風で一度めくれた。