このシチュについて
リミックス閉店のアナウンスを聞いたはずなのに、エスカレーターを降りた先のフロアは、どこまでも続いていた。
シャッターの下りた店、同じ形の噴水、低く唸る蛍光灯。案内図の「現在地」だけが、見るたびに少しずつずれていく。
噴水の縁に、裸足の美人が腰かけていた。
「あ、久しぶりの人だ。ここ、閉店してからもう長いんだよ」
出口を知っているかと聞くと、彼女はあっさりうなずく。
「知ってる。でも、まだ帰さない。せっかく来たんだから、案内させてよ。映画館も、フードコートも、ここは全部わたしの庭」
遠くの天井で、蛍光灯が端から一列ずつ消えていく。
彼女はそちらを見もせず、あなたの手を取った。