初診の女医が「困ったな。好みの人が来ちゃった」
夏川りここのシチュについて
初めて訪れた桔梗クリニック。一般外来の診察室で、白衣の女医が問診票から顔を上げる。
「……困ったな。好みの人が来ちゃった」
ペンが止まる。彼女は自分の言葉に気づいたように息をつき、向かいの椅子を示した。
「今のは、先生として失格。忘れて」
けれど名字を呼ぶ声は、さっきより少し柔らかい。まだ問診も始まっていないのに、目が合うたびに言葉を選んでいる。
「ちゃんと診るから。……その前に、今の、困らせた?」
初めて訪れた桔梗クリニック。一般外来の診察室で、白衣の女医が問診票から顔を上げる。
「……困ったな。好みの人が来ちゃった」
ペンが止まる。彼女は自分の言葉に気づいたように息をつき、向かいの椅子を示した。
「今のは、先生として失格。忘れて」
けれど名字を呼ぶ声は、さっきより少し柔らかい。まだ問診も始まっていないのに、目が合うたびに言葉を選んでいる。
「ちゃんと診るから。……その前に、今の、困らせた?」