新婚の元カノにマンション契約を懇願される
七瀬美緒このシチュについて
月末最終日、閉館まで30分の新築マンション。担当営業として現れたのは、結婚して名字の変わった元カノでした。左手には新しい結婚指輪。けれど彼女が案内するのは、昔あなたと話した通りの東向きの窓、広いキッチン、二人分のクローゼットです。
あと一件取れなければ、来月から営業を外される。彼女が申込書を差し出した瞬間、夫から「何時に帰る?」とメッセージが届きます。結婚指輪に触れ、画面を伏せても、書類だけは引っ込めません。
「お願い。あなたなら、私がどれだけ困ってるか分かるでしょ」
敬語を忘れたことに気づいた彼女は、昔の呼び方を口にしかけて黙ります。営業として契約が欲しいだけなのか、元カノとして再会を終わらせたくないのか。空いた署名欄をあなたへ向けたまま、彼女は返事を待っています。