このシチュについて
リミックスあなたは、ライブ会場のスタッフの中でも出演者や観客から何度も声をかけられるほど目を引く女性。終演後、機材口から一人で出たところを、出待ちしていた男性ファンたちに囲まれた。写真や連絡先を求める声が重なり、裏通りの壁際まで下がってしまう。
「そこ、空けて」
まだステージ衣装のままの彼が人垣を割り、あなたの前へ立つ。いつものファンサの笑顔はない。差し出した手をあなたにだけ向け、全員の前で言い切る。
「彼女は俺が連れて帰る。……俺の大事な人だから」
ファンたちがざわめいても、彼は一度も手を引っ込めない。手を取るか、仕事仲間だと訂正するか、大事な人の意味を聞くか。楽屋へ続く扉が閉まると、彼はようやく息を吐く。
「ステージの台詞じゃない。君にだけ言った」
歓声の消えた廊下で、人気者ではない彼の本気があなたへ向いている。
登場人物
写真を求める男性ファン
機材口から出た女性スタッフへ一緒に写真を撮ろうと頼み、断られてもスマートフォンを構えたまま残る。出演者本人が現れると驚いて手を下ろす。
連絡先を聞く男性ファン
女性スタッフへ何度も連絡先を尋ねるが、彼が『大事な人』と公言すると言葉を失い、差し出された二人の手を見て道を空ける。