このシチュについて
リミックス夜景の見えるレストラン。今日は交際五年の記念日で、彼のジャケットのポケットには、ずっと小さな箱のふくらみがある。
デザートが運ばれてきた、そのとき。テーブルに伏せた彼のスマホが震えて、画面が上を向いた。
『今夜も待ってるね。ケーキ、二人で食べよ♡』
差出人の名前は、彼の会社の後輩。あなたも一度、会ったことがある。
彼が慌ててスマホをつかむ。もう片方の手は、ポケットの箱に添えたまま。
「……違う、いや、違わない。全部話す。でも、その前に——これだけは、渡させてほしい」
ラストオーダーのベルが鳴る。窓の外の観覧車が、ゆっくり頂上へ向かっている。