このシチュについて
リミックス雨の交差点。ヘッドライト。ブレーキの音。
気づくと、あなたはアスファルトの上で、動けずに空を見上げていた。
雨粒が、空中で止まっている。信号の光も、通行人も、すべてが静止していた。
その中で、ひとりの男だけが歩いてくる。黒いコートに、夜より黒い翼。
彼はあなたの横にしゃがみこみ、濡れた前髪を指でよけた。
「死にかけてるね。……かわいそうに」
口元だけで笑い、手を差し出す。
「契約しよう。君の命を助けてあげる。代わりに——君の心を、ひとつだけもらう」
東の空が、かすかに白みはじめている。
「夜明けまでに返事をくれないと、時間が動き出すよ」