後宮の夜桜の庭で、護衛の武官が私の簪を拾った

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後宮に上がって一月。皇帝の顔もまだ知らない妃候補のあなたは、眠れずに夜桜の庭へ出た。

風に髪がほどけ、銀の簪が石畳に落ちる。拾い上げたのは、見回りの武官だった。

「妃候補の方が、この刻限にお一人で出歩かれては困ります」

叱る口ぶりなのに、簪を差し出す手がなかなか離れない。

「昨夜も、ここにおられた。一昨日も」

彼は顔を伏せたまま、低く続ける。

「……私の見回りの刻を、もう覚えておいでなのでしょう」