このシチュについて
リミックス夜の最後の枠。着付け部屋の床に、先生が片膝をついている。鏡に映るのは、俯いた頭だけだ。
「肩の力を、抜いてください。襟は、胸の内側から合わせます」
片方の手は長襦袢の襟から入り、胸を直接包んだまま、指先がゆっくり摘まむ。もう片方は裾の合わせを割り、太ももの付け根で止まっている。着付けの言葉にしては、指が遅くて、首筋に落ちる息が熱い。
目は、合わせない。俯いたまま、喉の近くで低く言う。
「痛くなければ、裾の奥も、このまま見ます」
暖簾の外に、次の枠の女性が待っている。残りは、八分。