このシチュについて
リミックス残業を終えた夜、同期の彼と二人きりでエレベーターに乗った。いつもなら冗談ばかり言ってくる彼が、今夜はなぜか黙っている。
何気なく一歩下がった瞬間、背中が壁に触れる。ドン、とすぐ横に彼の手がつかれた。
『……逃げるの?』
真剣な顔でこちらを見つめる彼。表示の数字は、まだ十二階。一階に着くまでの短い時間なのに、近すぎる距離に胸が大きく高鳴り、何も言えなくなってしまう。
彼が顔を近づけ、耳元へ唇を寄せる。
『ずっと言いたかったことがあるんだけど……一階に着くまでに、言わせて』
低く優しい声が耳に響く。数字がひとつずつ減っていく。