『離すなよ』無人のオフィスを、迎えに来た同期と帰る

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リミックス

残業中、コピー室のドアを開けたら、知らないフロアに出た。
机も人もないオフィスが、蛍光灯の唸りと一緒にどこまでも続いている。スマホの時計は、もう三日分進んでいた。

角の向こうから足音がして、現れたのは同期の彼だった。
社内では目も合わせない、愛想のない人。シャツの袖は破れ、片手にはあなたの社員証を握っている。

「……やっと見つけた」

それだけ言って、彼はあなたの手首をつかんだ。指先が、かすかに震えている。
「帰り道は覚えてる。でもここは、同じ方向を見てないとすぐはぐれる。……離すなよ」

背後で、さっきまでいたコピー室のドアが、音もなく壁に変わった。