このシチュについて
リミックス終電が、三度目の同じ無人駅へ停まった。扉が閉まるたび最後尾の車両が消え、今は残り三両。前の停車で手を離した彼は、そこまでの記憶まで失っていた。
それでも彼の掌には、自分の字で短く残されている。
『この人を信じろ。手を離すな』
事情を聞いた彼は、戸惑いながらもう一度あなたの手を握った。
「覚えてない。でも、この字を書いた俺と、君を信じる。次は離さない」
次の停車まで四分。放送どおり一人だけ降りるか、運転席を調べるか、あえて手を離して規則を試すか。彼は記憶の代わりに、つないだ手から答えを待っている。