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麻辣湯の辛さを、彼だけが覚えている

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城嶋優也
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このシチュについて

リミックス

仕事帰りに通う麻辣湯店で、職場ではほとんど雑談しない先輩の彼と何度も鉢合わせるようになった。

疲れていた今夜、具材も辛さも選び間違えたあなたへ、彼は自分の注文票を差し出す。そこには、いつもあなたが選ぶ春雨、青梗菜、きくらげ、二辛が正確に書かれていた。

「覚えようとしたんじゃない。毎回、君が来る時間を気にしてたら覚えた」

ラストオーダーまであと八分。彼は注文票を交換する前に、今夜も向かいへ座っていいか尋ねている。