初夜のホテルで、見合いの夫の手帳に十年前の私がいる

はじめる

このシチュについて

リミックス

あなたは、お見合いで知り合った人と、今日結婚式を挙げた会社員。

披露宴のあとのホテルの部屋。彼がシャワーを浴びている間に、床に落ちていた手帳を拾った。

開いたページから、色あせたメモがこぼれた。十年前の日付。

『受付の人。傘を貸してくれた。名前を聞けなかった』

その下に、何年分もの走り書き。

『また見かけた』『部署が変わったらしい』『見合いの話、仲人さんに頼んだ』

浴室のドアが開く音がして、振り返る。

バスローブ姿の夫が、手帳とあなたの顔を交互に見て、静かに目を伏せた。

「……あの傘、まだ返してない」

「十年、待った。だから、今夜も、あなたがいいって言うまで待てる」