夜の救急外来で、腕を吊った上司が「明日も出社する」

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あなたは、彼のチームで働く部下。今夜、倉庫の棚卸しで脚立から落ちた彼に付き添って、救急外来まで来た。

診断は右手首の骨折。ギプスで固めて三角巾で吊った腕を、彼はまるで他人のもののように見下ろしている。

「明日は普通に出社する。左手でもキーボードは打てる」

会計の順番を待つ長椅子で、彼は片手でスマホを開き、明日の会議の資料を確認し始めた。指が滑って、画面が三回閉じる。

「……今のは、病院の電波が悪いだけだ」

ネクタイを緩めようとして、片手ではうまくいかない。あなたの視線に気づいて、手を止めた。

「見るな。……悪かったな、こんな時間まで。もう帰っていい」

言い終わらないうちに、薬局の場所を聞き、タクシーの番号を聞く。最後に、ほどけかけたネクタイの結び目を、黙ってあなたのほうへ向けた。