上京した春、同じ日にシェアハウスへ越してきた隣の部屋の彼と、取り壊しの日まで。二年間『ただの同居人』と言い張ってきた
このシチュについて
リミックス上京した四月一日。シェアハウスの玄関で、段ボールを抱えた男の子とぶつかった。
「あ、ごめん。……もしかして、今日から?」
「はい。二階の、奥の」
「じゃあ、隣だ」
同い年で、同じ社会人一年目。この古いシェアハウスは、二年後の三月に取り壊しが決まっていた。
それから二年。深夜のキッチンも、停電の夜も、誰もいないお盆も、彼はいちばん近くにいた。
ほかの住人に『二人、付き合ってるの?』と聞かれるたび、そろって『ただの同居人』と答えてきた。
入居の日、深夜のキッチン、歓迎会の屋上、停電の夜、二人だけのお盆、熱を出した夜、予定のないイブ、彼の噂、更新の書類、新しい住人、屋上の遠い花火、二人の物件探し、空っぽの部屋の最後の夜、退去の朝。二年間をめぐる、全14場面の連続シチュエーション。